今回、非常に多くの作品が投稿されており、入選作を選ぶのは非常に大変でした。僅差で大賞候補というものは、いくつかありました。
　その中で、「まんまるラムネ」の漫画は全体的に完成度が高く、話の面白さもあわさって頭ひとつ抜けた作品でした。
　まず最初にこのマンガを見た時に目に入ってくるのはラムネのパッケージです。
　これを見て「ああ、ラムネのマンガなんだな」と思いつつ、１コマ目に目をやると「え？バスボム？」と、いきなり驚かされ、続きが気になります。
　そして、２コマ目は視線誘導が非常に巧みです。
　「自分はそれを眺めながら」という説明が、眺めている人物にかぶっている為、自然にキャラに目がいき、キャラの目線によってバスボムに誘導されます。
　めっちゃ美味しそう・・と思ってしまった。というセリフから謎が深まります。
　次の３コマ目は地味ですが、非常によくできた重要なコマになっています。
　３コマ目に少しだけ描かれた「陳列棚」が場所と状況を見事に説明しており、何の説明もなくても誰でも、買い物に行った先で見つけたというストーリーを理解できます。
　そして、引きで棚を眺めている表現から、次の４コマ目の一気にアップになる緩急のついた表現が非常に伝わりやすく、巧みです。
　時間経過の表現についても非常に巧みです。
　横方向の枠線は太めに設定されていて、１段目（数年前）、２段目（お店での発見時）、３段目（帰宅後）という、それぞれの段で場面が違うことを上手く表現しています。
　キャラクターの表情も豊かで、最後の「幸せって些細なもんなんだろうな」という締めも素敵でした。
　推しマンガとしても、売っている場所の表現があり、商品名だけでなく製菓会社の名前も描かれており、興味を持った人が見つけやすくなっています。
　「伝え方のうまさ」「ストーリーの見せ方の面白さ」「視線誘導」「人物の表情やジェスチャ」あげていればキリがありませんが、全てが高いレベルでバランスの取れた作品だったのが、パルミー賞とした理由です。
　今、すごく食べたいです！

　懐かしのゲームを紹介したこちらの漫画。
　あいにく私は、やるドラシリーズは今回初めて知りましたが、非常に興味を持ちました。
　この作品のうまいところは、まず１コマ目の「ダブルキャスト」という文字です。
　カラーで、太字で、ハイライトをつけて描いたことで、文字なのに絵でもあり、タイトルとして非常に有効に機能しています。
　１コマ目の絵も非常に考えられていて、ゲームをプレイしている人物、コントローラー、ゲーム機、プレイ画面といったものが入っています。
　このおかげで、個人的名作ゲームという表記に目がいかなくても、一発で「あ、ゲームの紹介なんだな」と気付きます。
　２コマ目もゲームのパッケージを上手く表現しています。細かい部分ではありますが。PSのロゴが描かれていることも、ゲームだという理解を助けてくれます。
　３コマ目は、まさにメインとなるコマですが、非常に上手に配置されています。
　中央の美月ちゃんに視線誘導されて、その左右にある「ニヤニヤな恋愛と個性的な仲間とのドタバタ青春劇」という部分だけ目に入って、他は流し読む方が多いと思います。
　それでも、話が通じるようになっている構成は素晴らしいです。
　４コマ目の実はホラーサスペンスなんですという意外性と、最後のコマのサスペンス風の意味ありげな表現によって、流し読みした部分を丁寧にもう一度読んでみようという気持ちにさせてくれます。
　最後に、これはどうしようもないことですが、この作品に興味を持ってくれても、そう簡単にはプレイすることができないであろうという点がとっても惜しいです。

　この作品は、一言でいうと「思いやり」に満ちた、広告漫画として非常にレベルの高いものでした。
　また、マンガは人物や背景をしっかり描いて埋めないといけないという思い込みを壊してくれる点も素晴らしかったです。
　まず「疲れている時に寝香水はいかが？」という思いやりが素敵です。
　シンプルに見える絵もとてもよく考えられています。
　特に１コマ目はほんのわずかに位置を左にずらしていて、寝香水という文字の方に向いているのです。その後も、半目、ハート、下向き、眠りと、目だけで表現しています。
　メインとなる香水はシルエットは力強い太い線、内側の細い線のメリハリが美しいです。　４コマ目の「使い方が簡単である」という疲れた人を安心させる情報、最後のコマでも「翌日に残らない」という情報と、いずれも利用する人の目線に立ったとても優しい漫画です。

　とにかく１コマ目の風景が素晴らしいです。「昭和12年　浅草」という時間と場所が自然に入ってきます。。
　２コマ目のシルエットもコミカルでとても良いですね。シルエットである事で、先が気になります。
　３コマ目の人物も表情豊でコミカルです。また、名前にきちんとルビがあって読みやすいです。
　そして４コマ目。
　様々な音楽のジャンルが文字を囲んでいる枠の表現が素晴らしいです。
　カツベン、和歌、民謡、アニメ、などそのイメージにぴったりの表現になっています。
　とにかく興味を引く魅せ方なので、５コマ目の文字多めの説明も自然に入ってきます。
　最後のコマも、CDジャケットの絵も巧みですし、なによりLINE MUSICというお手軽な手段を提示してくれているのも嬉しいですね。

　単純にわかりやすく、伝わりやすいのが素晴らしいです。
　「しみが落ちる」と言うのではなく、こういう事が起きた時に役立ちます！というストーリーを通じて、要点を伝えているのが素晴らしいです。　
　３コマ目の段階では、シミが袖についたままなのもいいですね。
　その後にちゃんと拭いてるシーンが描かれていますね。
　５コマ目も、絵だけでミートソースだと一発でわかるし、服にもはねているのが芸が細かくて良いですね。最後のコマで紹介しているしみとりレスキューも「目薬と似ている」という表記で、商品のサイズ感が伝わるのがすごく上手です。

　好きかなーと思っていたけど、沼に落ちた。という表現がすごく良いです。
　タコがとても可愛らしく描かれていて、本当にタコ好きな感じが伝わってきます。
　タコを食べているシーンや、タコグッズをもらっているシーンなど、いろいろな側面から　タコを見せているのも魅力が伝わりやすくてとても良いです。
　タコ好きが高じてライフワークにまでなったというのも、タコ推しであることがよく伝わってきます。

　実は私もこのラジオ大好きなんです！ラジオという音だけのメディアを絵で表現するのは難しいですが、１コマ目のビジュアルがとても上手くて、ラジオであることが一発で伝わってきます。
　３コマ目の、様々なジャンルの絵も、４コマ目の投稿コーナーの絵も、何を表現しているのかが、しっかり伝わってきます。
　ラストの寝っ転がりながら聞いている絵もリラックスしてる感じがとてもいいですね。
PC・スマホでも聴けるとありますが、Radikoなど具体的な手段に踏み込んでくれると、より親切だったかなぁと思います。